マイスターに聞いてみよう
No.1
冷凍空調技術 ものづくりマイスター
原田泰彦さん
オーダーメイドで、
快適な環境と空間を
作り出す仕事です。
冷凍空調技術とは、どのような仕事なのでしょうか?
冷凍空調技術には、大きく分けて2つの技術があります。
まずひとつ目は「冷凍技術」です。ここでいう「冷凍」とは、今の状態よりも温度を下げること。決して凍らせるだけが、冷凍技術ではありません。例えば、クーラーを取り付ける工事や、食品会社で肉や魚を急速冷凍させたり、エムウェーブのアイスリンクを作る装置などにも、冷凍空調技術は使われています。
2つ目が「空気調和技術」です。室内の温度や湿度、ホコリ、炭酸ガス濃度などをコントロールし、住居や工場内の状態を最適に保つための技術です。この2つの技術を合わせたものを「冷凍空調技術」と呼んでいます。
施工には、いくつもある材料と加工方法の中から、国土交通省の仕様や法令に沿って最適な組み合わせを選び出すことが冷凍空調技術者の大切な仕事となります。そのため、材料や加工に関する幅広い知識が必要になってきますね。
どんな時にこの仕事のやりがいや面白さを感じますか?
建物の構造や環境に合わせて、すべてオーダーメイドで作りあげていきます。一見、同じような形ですが一つひとつ違います。自分が持つ知識や経験をフル回転させて、無限大にモノを作り上げていける楽しさがこの仕事にはありますね。お客様からのニーズに対して最適なものを提案し、形にしていく。それが要望通りの形になり喜んでいただいた時は、とてもうれしいですね。どんな仕事でも、何らかの苦しい場面に遭遇することがあると思います。この仕事も手や作業服が汚れる、暑くても寒くても外で作業することがあるなど大変なことはたくさんあります。それでも「自分はやっていくんだ!」という気構えや、自分の技術に対する向上心、誇りが持てるようになれば、一生続けられる仕事だと思いますね。
今後、ものづくりマイスターとしての展望を教えてください。
これまで長野県職業能力開発協会の指導員を10年近くやっていました。そういった経験なども踏まえて、協会の方から「ものづくりマイスター」の制度を教えていただきました。自分がこれまでやってきた経験を生かせる制度だと思ったので申請し、マイスターになることができました。
今日の長野工業高校での講習会では、工具の基礎的な使い方からはじまり、加工の手順などを教えていきます。今後も「ものづくりマイスター」として、技術指導などの要望があれば、自分が培ってきた技術や経験を将来を担う人たちへ伝えていきたいと思っています。そのためには、もっと自分でも技術を磨いていかないといけないですね。
最後に、ものづくりを目指す若者へメッセージをお願いします。
「自分は何をやりたいのか?」をなるべく早いうちに見つけて欲しいと思います。最近では企業への職場体験や、業界団体の受け入れも増えてきていますので自ら積極的に動き、本当に興味の持てる仕事に出会う努力を惜しまないで欲しいですね。これからも多くの若者が未来とものづくりを担う人材として成長してくれることを願い、応援していきたいと思っています。
パイプ内は高圧力になるので、継手の締め方が少し悪いだけで空気が漏れてしまいます
パイプ内は高圧力になるので、継手の締め方が少し悪いだけで空気が漏れてしまいます
長野工業高校 環境システム科3年
酒井裕矢さん
原田先生に一つひとつ丁寧に教えていただき上手くできたと思います。講習中にご指摘いただいた継手の締め忘れがないように、これからはしっかりやりたいです。僕は就職先でこの技能が必要になるので、教えていただいたことを今後の仕事で生かしていきたいと思います。