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さまざまな染色技法と道具を使って生地を染める「染物職人」。染色は気温や湿度に左右されるため、長年の経験による知識に基づき、季節や日によっても異なる気温や湿度を見極め、微妙なさじかげんで作業をする職人技が際立つ仕事です。手間ひまかけた昔ながらの工程を大切にしつつ、時代に応じた染物もつくる「染物職人」の仕事を紹介します。
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「反応染め」による染め物ができるまで

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「反応染め」というのは反応性染料を使い、アルカリ剤(苛性ソーダなど)を使って布上で化学反応を起こすことにより、染料を布に固着(反応)させる染め方です。反応性染料は綿やレーヨンを染めるのにもっとも多く利用されている染料で、鮮やかな色からくすんだ色までほとんどの色を表現することができます。繊維と化学結合して染着するので、耐久性にも優れています。

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原寸大の下絵にワックスを塗り、型彫り用の型紙を貼って、カッターでカットします(細かい図案は専用のカッティングプロッターでカットします)。カットした型紙をアイロンで紗(薄い布)に貼り付け、木の型枠にはめこみます。

糊置き

生地を台に貼り付け、その上に型を置き、染めない(白く残したい)部分に専用の糊を塗ります。糊を塗った部分が染まらないという性質を利用した方法です。糊置きした生地は乾くとシワシワになるので、ピンと張って乾かします。

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色づくり

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色見本に基づき、規定の分量で染料粉とお湯を混ぜて染料をつくります。さらに粘着性をだすために、海藻でできた粉を溶かします。染料が水っぽいと布に染み込みすぎてしまい、粘着力が強いと布の裏まで染料が染み渡らないので、ちょうどよい加減が大切です。また、水道水に含まれる金属を防いで糊置きをした部分がきれいに表現されるように「金属封鎖剤」を混ぜます。

染め(反応染め)

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竹ひごの両端に針がついた「伸子(しんし)」で生地を伸ばし、染料を含ませた刷毛で、丁寧に染め上げていきます。むらにならないように何度も均一に重ね塗りします。裏側も確認し、色むらがないように染めます。糊を置いた部分は、糊の中に染料が染み込むのを防ぐためにドライヤーですぐに乾かします。天気がよい日は外で日に当てて乾かしますが、冬場はなかなか乾かないので手間がかかる作業です。

色止め(色の固着)

染めた後にアルカリ剤(苛性ソーダ)を刷毛で塗って、翌日まで待ちます。こうすることで、染料が固着します。

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水洗い

余分な染料や糊、アルカリ剤特有のぬるぬるとした感じを取り除くため、しっかりと水洗いをします。

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ソーピング

染めムラ等を防ぐためにソーピング剤(石鹸)をいれて、熱湯で10~15分間煮沸し、後処理をします。

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水洗い・脱水・乾燥

水洗いが終わったら、染め上がりを確かめてから脱水機で脱水し、乾燥させます。天気がよい日は天日干しします。

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仕上げ

反物で染め上げた布を、ハッピや暖簾(のれん)など、用途に応じて仕立て上げて完成です。

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取材協力
小玉屋染物店 浦野孝三さん

小玉屋染物店2代目で、この道54年。二十歳すぎに本格的に染め職人の道に進みました。かつては着物の染色がメインで、父親は藍染もやっていましたが、時代とともに需要が少なくなり、染料屋のアドバイスもあったことから約20年前に「反応染め」という新たな分野を開拓しました。

urano
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