title_02_01
pic_02_01

日本自動車工業会調べによると、日本の自動車の保有台数は7500万台超。日本の人口1億2000万人に対し、車はおよそ2人に1台を所有する時代になってきました。
そんな車社会を支えているのが、全国に約33万人いる「自動車整備士」たちです。整備士の仕事は専門性が必要とされるため、エンジン、ディーゼル、シャッシ(ボディーを除く全ての機構)、二輪に分かれています。整備士たちはそれぞれの分野の装置を点検・整備し、故障箇所を修理して、車の機能を元通りにすることで、車の安全を守っています。

いろいろあります、自動車整備の仕事

自動車の点検・整備といえば、多くの人が車検を思い浮かべるでしょう。しかし、自動車整備工場では車検だけではなく、自動車の安全確保と性能維持のために多くの点検や予防整備も行っています。また、自動車ユーザーには車検と車検の間に行う「1年定期点検」も義務付けられています。最近はクルマの構造が複雑になり、必要な点検・整備が増え、点検内容も複雑化しています。

pic_02_02

下回り点検
リフト・アップして車の下回りにあるさまざまな装置を目視で点検します。エンジンオイルの漏れやマフラーの損傷、遮熱板の取り付けの緩みなどを確認します。走行距離によってもチェックする部分は異なりますし、メーカーによって傷みやすい部分の特性があるので、注意深く確認します。

pic_02_03

ブレーキ装置・ステアリング装置・サスペンションの点検
ブレーキの効き不良を防止するために、ブレーキ・パッドやブレーキ・シューは厚みを測って残量を確認し、ブレーキ・オイルの漏れ、ホースやパイプの損傷、取付状態なども点検します。また、ステアリング(自動車の方向変換機構)の不具合を防止するために、ステアリング・ロッドやアームの緩み、がた、損傷を点検し、走行時の路面からの衝撃吸収や姿勢維持など快適な走行ができるような役割を果たしている「サスペンション」の取付部や連結部の緩み、がた、損傷なども点検します。

pic_02_04

動力伝達装置の点検
エンジンで発生させた動力を車輪に伝えるための装置を点検します。FF車とFR車、オートマチック車とマニュアル車で多少違いはありますが、走行時の異常な振動や動力の伝達不良を防止するため、プロペラシャフト連結部の緩みなど、各部分を点検します。

pic_02_05

エンジンや電気装置の点検
ボンネットを開けて、エンジンルームを点検します。クルマの心臓部であるエンジン本体の他、エア・クリーナ・エレメントやエンジン・オイル、燃料装置、ラジエータなどを点検します。また、電気系統の要であるバッテリーの性能や充電状態、点火プラグなどの点火装置のチェックも行います。

pic_02_06

タイヤの点検
ホイールの脱落などを防止するためにホイールのナットやボルトの緩み、ベアリングのがたなどを点検します。また、タイヤゲージでタイヤの残溝や空気圧も測定します。

pic_02_07

ばい煙、悪臭のあるガス、有害ガス等の発散防止装置の点検
排出ガス減少装置などは高熱を発するため、火災発生の恐れもあります。取り付けの緩みや損傷がないか細部にわたり点検します。 その他、オイルや水漏れ、ネジの緩みなどの車体下部の検査をします。

pic_02_08

車体下回りの防錆塗装
下回りは、飛び石などによって塗装が傷みやすく、特に長野県は降雪地帯なので、塩カル(融雪剤)によって下回りが錆びてしまうことがあります。 そこで、下回りにサビ止めとなる防錆塗装をします。

pic_02_09

指定整備記録簿の記入
国の指定を受けて車検をしている民間車検場では、車体を分解修理した内容を書き込んだ車のカルテ「指定記録簿」を記入します。法律では点検・修理などを行った場合、この指定整備記録簿に記入して記録を残さなければならないことになっています。

pic_02_10

接客
車を直すことだけが自動車整備士の仕事ではありません。車の持ち主であるお客様に対し、予め気になる点がないか伺ったり、不具合箇所や修理内容をきちんと説明する接客の仕事も大切です。

自動車整備士
中村雄一さん
ホンダカース長野中央
鉄道車両や建設機械などと異なり、自動車ユーザーは特に整備の知識がなくても日常の乗り物として運転をすることができます。その分、自動車整備のミスはお客様の安全に直結するため、私たちは人の命を預かる仕事だと認識して責任感を持って整備をしています。そして、ひとつひとつの作業に慣れて惰性で作業をしてしまわないように、常に注意を払っています。現在の自動車は昔に比べて壊れにくくなっている分、整備は日々進化しており、ハイブリッドカーや電気自動車の登場に伴い、ハイテク化も進んでいます。メーカーでなければわからないコンピュータ制御・プログラム制御等の知識もあり、整備士には従来のような機械系の点検整備に加えて、制御系の知識も求められています。
pic_maintenance_navi_01
pic_maintenance_navi_02
pic_maintenance_navi_03
pic_maintenance_navi_04
MENU